『初めて参加するシクロクロス』FAQ

2015/10/8 One by ESU

近年シクロクロスの大会が各地域で9月から開催されるようになり、普段ロードレーサーに乗られている人が近場の大会に参加したいというご希望を頻繁に聞くようになりましたので、FAQ形式にてまとめました。

今シーズン、シクロクロスレースに参加される際に参考になれば幸いです。

(辻浦圭一)

 

Q1.  大会へはどんな準備をすれば良いですか?

シクロクロス用自転車はもちろん、ヘルメット、シューズ、グローブは必需品です。
防寒具、試走で汚れた自転車を洗うための、バケツ、ブラシ、チェーンオイル、ウェスなども必要になります。またスペアバイクをお持ちなら、ピットでバイク交換や洗車をしてくれるサポーターがいると心強いですね。
シクロクロスは冬に行われる競技の為、体を冷やさないように心掛けましょう。
試走をすると汚れたり、汗をかいたりしますのでウェアーやアンダーは2セット持っておくと良いでしょう。レース終了後もすぐに汗で冷えてしまいますので、喉元を覆うタオルや帽子をゴールに用意しておくとコンディションを壊すことなく次の大会に臨めます。
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Q2.  カーボンなどフレーム素材の長所と短所は何ですか?

一般的には、スチールフレームの長所はしなやかさと振動吸収性能が良い事です。細いシルエットも美しいです。短所は重量です。  アルミフレームの長所は軽量で非常にキレが良い点です。短所は路面からの振動をダイレクトに拾ってしまいやすい事です。 カーボンフレームの長所は軽量且つ、振動吸収性、反応も良い事です。短所として強いて上げれば高価な点です。

 

Q3.  ディスクとカンチどちらのフレームが良いですか?

コースとライダーの好みと走り方によって分かれてくるので、正直どちらとは返答しづらいです。ディスクブレーキの特徴は、制動力も高く安定しているのでピンポイントでブレーキを利かすことが出来ます。泥詰まりも少なくツーリングやトレイルでホイールを曲げてしまった時もブレーキに影響なく走行可能なので安心感があります。UCIにてディスクブレーキが解禁になり、本場のレースでもディスクブレーキが使われるようになりましたがコースに応じたホイール、タイヤを用意するとなると初期投資金額が高額になる点とメンテナンスと重量の点でまだ浸透していないのが現実です。一方、カンチブレーキの制動力はディスクに比べて劣りますが十分な制動力はあります。
ブレーキレバーを握ってパッドがホイールに当たった時の初期制動や「あて効き」しながらコーナーリング時のコントロール性、メンテナンスも容易で自分好みのフィーリングにセッティングできるのは良いですね。
ホイールもロードとの兼用が可能ですので初期投資額は低く抑えることができます。


IMG_4386Q4.  フレームサイズはどのようなサイズを選べばいいですか?

ロードレーサーのトップチューブ長と同じ大きさのフレームを選択してしまいがちですが、シクロクロスはコーナーリング、振動吸収などのバイクコントロールが求められるので、今乗っているロードレーサーよりもトップチューブが少し短い位をお勧めします。

 

Q5.  タイヤは、チューブラー、クリンチャー、チューブレスどれがお勧めですか?

チューブラーは、空気圧を低圧にすることが可能で乗り心地もよくしなやかなのでお勧めです。短所は、タイヤをリムに接着材(リムセメント)で貼り付けるのでパンクすれば修理や交換に時間と手間がかかる点、また高価な点です。クリンチャーはチューブラーの半額程度でトレッドのバリエーションも多く用意されていますので、コースにあったタイヤを選択して簡単に 交換することが可能ですし、パンク時の対応も簡単です。短所は、コース状況(砂、泥)により低圧が要求される場合、チューブラーほど低圧にできない為、砂での走破性や振動吸収性は劣ります。チューブレスはチューブラーとクリンチャーの中間的存在で価格的にもクリンチャーと同じ程度です。グリップもありしなやかです。注意したいのは低圧でタイヤがよれた時のエア漏れは気を付けたいです。
本格的にレース参戦するならチューブラータイヤ。日本の土質ではグリップ力のあるクリンチャーやチューブレスがバリエーションも多くて魅力的です。個人的にはレースでは、グリップ力の少ないタイヤで空気圧を低圧にして接地面を広げて面圧を下げるセッティングが好みでチューブラータイヤを選択していました。以前チューブラーでトレーニングを行いパンクして10キロ担いでランニングして帰った苦い思い出があるので、トレーニングはクリンチャータイヤ、チューブレスタイヤを使用していました。
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Q6.  ロードと比べて転倒することが多いと思いますが、危険ではないですか?

転倒することは多いですが、危険ではないと思います。ロードはスピードも速く、集団で走行する場合が多いので転倒すると骨折や擦過傷に直結しますが、シクロクロスはロードと比べてスピードも速くなく、集団も密集していませんしオフロードは舗装路と比べて路面も柔らかいので転倒してもせいぜい打ち身やすり傷位でしょう。過去にコーチとの会話で、レース中の転倒を気にしたところ「転倒は普通でそこからのリカバリーが大切。テクニックは後からついてくる」と助言を受けたことがありました。シクロクロスで過去に大怪我した記憶はないです。
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Q7.  どこでどんなトレーニングをすればいいですか?

ポジションに慣れる為、シクロクロスバイクでのフィジカルトレーニングはロードワークで行います。コーナーリング、担ぎなど技術的なトレーニングは公園などでも可能です。公園や林道で行う場合は歩行者優先で安全を心掛けてください。「トレーニング」という概念に捕われず、シクロクロスバイクでロードでは走れない砂利道に入ったり、面白そうな脇道などに入ったり、パイロンを立てて、仲間と8の字走行の追いかけっこをしたりして、楽しみながら走るといろいろな発見があり上達も速いです。

 

 

Q8.  シクロクロスのギヤ数はロードと同じでしょうか?

ロードのフロントチェーンリングのままだとアウターとインナーがワイドレシオになりすぎて一定のペダル回転数のままシフト出来なかったり、ミスをするとリカバリーが効かなくなりタイムロスにつながります。フロントのアウターは46T以下、リアスプロケットは12T~23T.25T.28T辺りが良いと思います。フロントアウターを使用中にリアスプロケットのローギアを使用している方はチェーンラインが斜めになりチェーンの寿命も短くなり、チェーントラブルの確率が増すのでフロントチェーンリングをインナーにしてチェーンラインをできるだけ斜めにならないようにギアを変速して使用することをお勧めします。ギア比が大きい場合のメリットとしては、トラクションが一定にかかりバイクが安定します。
小さいギヤ比を使用しすぎると担いだ方が速いセクションもありますが、その場合乗車した方が身体への負担が少なくなります。フロントシングルギヤを選択してもいいと思います。過去にはコースに合わせて右側クランクのみ交換しギア比を変える選手もいました。話は外れますが、シクロクロスはギヤ数に留まらず機材やライダーのバックボーン、テクニック、脚質、レース前半と後半のコースコンディションや気温によってもセッティングが変化してくるので、周りとも情報交換しながら自分のベストを見つけるのも魅力の一つではないでしょうか?

 

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辻浦圭一
近代日本シクロクロス界のレジェンド、全日本シクロクロス9連覇を達成し本場ベルギーとオランダで約10年間の競技経験もある「辻浦圭一」氏による、ワンバイエスJFF#801シクロクロスの実走インタビューを掲載します。多くの現役トップライダーから師匠と尊敬される辻浦氏は、JFF#801の開発当初から携わりました。日本人と日本の大地に合ったシクロクロスフレームを追求し、細部のジオメトリーを煮詰めるために多くの試作車をテストしてようやく完成したJFF#801を本人へのインタビューです。ライダー使用サイズ
身長:172cm
#801サイズ:M
JFF #801詳細はこちら辻浦圭一氏へのOnebyESU JFF#801インタビューはこちら

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