辻善光氏へのOnebyESU JFF#501インタビュー

2015/02/24 JFF, JFFフレーム, One by ESU

現在「Team Zenko」で活動する辻善光氏は、学生時代から鍛え続けたロードレーサー人生に於いて、ツール•ド•北海道での大学生初となる山岳賞ジャージ着用や、クリテリウムなどでのスプリントシーンで他を圧倒する爆発力が魅力の選手として有名であり、物事への独自の視点や探究心とユニークさからファンも多いライダーです。2015年からは「吉本興業」の「ふるさとアスリート」にも登録。「自転車を通じて万人に安全な環境を作りたい•••バイクコントロールの重要性も伝えたい•••」と、益々活躍の場が広がりつつあります。そんな辻善光氏が自らの意思でチョイスした「ObebyESU JFF#501」についてのコメントを本人へのインタビュー形式でお伝えします。

ライダー使用サイズ
身長:169cm
#501サイズ:520

幾多のトップレンジのメジャーカーボンバイクに乗り続けて来たトップアスリートが、トップシーンからの引退表明後になぜスチールフレームをチョイスするに至ったのか・・・

~伸びのある快適性~

「機材に求める要素は目的によって違うもの。例えばレースであれば踏み出しを軽くする事にウエイトが置かれますが、楽しみで乗る場合は、自転車が進んでからの”伸び”が重要です。これは快適性に直結します。カーボンフレームは踏み出しが軽い反面、筋力を相当鍛えてないと走行時の伸びを安定的に得られ難い部分があります。私がこれから求める要素は、踏み出しこそカーボンフレームのように軽くは無いものの、伸びのある快適性、すなわちスチールフレームだったのです。#501はその目的を実現してくれます。」

「私は乗車している時に無用な存在感のないものが優れた製品だと思っています。#501はまさにそういう製品です。そう考えると素材はスチールしかない・・現在スチールをカバーできる素材は無いと思います。」

フレームを形成する寸法/ジオメトリーについてはどのような印象か・・・

~骨格に合うバランス~

「精度は勿論ですが、フレームの要素の中でもジオメトリーは一番重要だと思います。体格体型に的確なフレームを選ぶ事が基本中の基本です。身長170cmの私の基本骨格は日本人男性の平均値であると言えますが、バランスよく走行する為のジオメトリーを持つフレームにはなかなか出会えませんでした。#501は520mmを使用していますがオーダーフレームのようにバランスよくフィットし、長年愛用してきたかの如く自然な快適性を得ることができました。これは製作にあたって、日本人の骨格に合う絶妙なジオメトリーを入念に検証し実現させたからだろうと思います。」

フレームの次に大きな基幹骨格となるフロントフォークについてはどうか・・・

~フロントフォークのオフセット選択~

「フロントフォークのオフセット数値は乗車フィーリングやハンドリングに多大に影響するようです。サイズの豊富なフレームと、オフセット数値の豊富なフォーク※の組み合せは、理想の快適な乗車体感を得る重要な要素となるでしょう。オフセットを数ミリ変えるだけで驚くほどにフィーリングが変わります。フレームマイスターが「フレームを2本持つよりフォークを2本持つべき」と言われるのがわかります。私のサイズ(520mm)ですと理想型はOBS-R11またはOBS-R2の50mmオフセットがマイルドで路面追随性の高いバランスの良いセッティングとなります。47mmにするとよりクイックなフィーリングとなります。(注1)」

※選択可能カーボンフォークはオフセットをOBS-R11は4種類、OBS-R2は2種類取り揃えています。

フレームとフォーク以外のパーツ構成についてはどのようなチョイスが理想的であると思うか・・・

~スチールフレームとカーボンパーツの組み合せ~

「スチールフレームに合わせるパーツとして、フロントフォークは勿論ですが、ハンドルやシートポストやホイールをカーボンでセッティングすることによって、体型に合ったジオメトリーの選択肢が多く、伸びやバネのある快適性を獲得出来るスチールフレームのメリットを得るとともに、パーツ部分でカーボンによる振動吸収性を両立できます。つまり、骨格的な部分を鋼(ハガネ)で、触手部分を炭素繊維(カーボン)でセッティングすると言う、完成車としての総合的なバランス力として発揮されるわけです。」

#501での走行で特に感じるところはどんな部分か・・・

~快適性と安全性~

「勿論あらゆる走行環境のなかで、骨格に合った自然なフィーリングを持ちながら伸びのある快適な走行が出来ることは何よりも気持ちのいいものです。それがすべてと言えます。さらに近頃のロードバイクの流行からこそ見えてくる意外なポイントもあるんです。それは風との関係です。常に受ける自然の風、特に横風等の不規則な風を受けての走行では、リム高のあるカーボンホイールも影響を受けますが、カーボンフレームは横面積が大きく全体で風を受けますから、不意に訪れる危ない場面が多くなるわけです。でも、そんな環境下ではチューブの細いスチールフレームは風の影響を最小限に抑えられますので、何より快適にしかも高速に走行できるんです。これはカーボンバイクに馴れて来た自分自身も改めて驚きました。特に都会でのロードバイクライフでは広い河川敷を走行する事が多いと思いますので、必然的に風にも悩まされますから尚更ですね。安全に快適に楽しくロードバイクを乗れることが何よりですね。」

辻善光氏はつい数ヶ月前までロード選手として第一線で走っていたわけですが、そんな彼だからこそ聴き取れる興味深い言葉が溢れ出てきます・・・・・

「今までカーボンフレームで空転するような漕げなかった路面が漕げるんですよね••••ひとりの時に特に楽に走れる••••今は出だしは遅くてもトップスピードが早い方が気持ちいい。それでレースも戦い方が変わって来てて、アシストとリーダーの走り方が違うでしょ•••簡単に言えば先陣切って走るアシストは柔らかいフレームを使用して高速でグイグイ引っぱりながらトップスピードで巡航し、ミドル系は中くらいに柔らかいフレームで後方を引っぱりあげ、自分で仕掛けずアシストに導かれるリーダーは硬いフレーム••••ってことですかね・・」

・・・・・これからも辻善光氏の発言にフレーム以外でも興味が沸いてきますね・・。



JFF #501詳細はこちら

(注1)あくまでライダー個人の感触(感覚)的な言葉の表現です。

一般的には50㎜(トレイルが短い)では「操縦性が良い」とされ、47㎜(トレイルが長い)では「走行安定性が良い」と言われています。ライダーの乗車姿勢やハンドル操作の仕方(癖)、フレーム細部のジオメトリー、走行環境などいろんな要素によって、ライダーが受ける感触(感覚)に違いがあるのとともに、ライダーの表現(言葉)も違いがあります。

 

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